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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
シット!犬の糞
僕のような凡才でも、これまでに天才的な?閃きが二度、三度は無かったわけではない。
ただ、途中で邪魔が入ったり、わき道にそれたりして実を結ばなかっただけである。

発明王エジソンがこういっていたような気がする。
“天才とは1%のインスピレーションと99%のパースピレーション(汗を流すこと)である。”と。
つまりどんないいアイデアが浮かんでも、それをコケの一念で何年でも追い続ける執念と努力が必要だということだ。
そういわれれば誰でも、ああ、あの時あれを追っかけていればなあ、と悔やむ閃きの一つや二つは思い当たるだろう。

例えば僕の場合。
アメリカ留学中、インターンを終えて希望して一年間実験室に配属してもらった。
教授からは二つのテーマを与えられた。
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一つは胃切除後の鉄吸収の問題で、今一つはクラッシュシンドロームといって、外傷で四肢が挫滅したときに発生する腎不全の治療法の研究である。
両者とも犬を使った実験だが、後者では麻酔をかけた犬の下腿を、ハンマーで100回ほどたたいて挫滅させるというまことに残酷な実験で、今なら動物愛護協会が黙っていないだろう。

毎日、一回、二回と数えながら犬の足を叩き潰しながら、ふと思った。
もし、挫滅でなく、外傷で足がちぎれてしまったとき、また、繋げばくっつくのではないかということである。
それまでにそういう手術報告は無かったし、実験も見当たらなかった。
だが、冷静に考えると、血管でも神経でも、骨や腱は勿論だが、それぞれは手術で繋ぐことは出来る。ならば全部切れても、一度に全部繋ぎなおすだけの話じゃないか。
僕は興奮してその晩留学生仲間に話したが、皆一笑に付して相手にしてくれない。
そんなのは着くはずが無い、無駄だよと。

翌日教授にこのアイデアを持ち込んだ。
彼曰く、“お前はまじめに「糞」を掻き混ぜていればよい”と。
胃切除の実験では、正常犬と胃切除後の犬の二群にアイソトープの鉄を飲ませたあと、排泄物をすべて集めてガイガーカウンターで吸収されなかった鉄分をカウントして両群の鉄吸収を比較する。
真夏の毎日、クーラーの無い実験室で、僕は犬の糞をミキサーで均一に攪拌しては、そのサンプルを計測していたのである。臭いなんて生易しいものでない。
次の年からまた僕は病棟にレジデントとして戻り、世紀の大実験のチャンスは失われた。

それから十数年後、アメリカのどこかで鉄道事故で切断された下肢を繋ぐことに成功し、その後は顕微鏡を使って細い血管や神経も繋げるようになり、指を含め「切断肢の再接着」の黄金時代が到来し、日本の研究者たちもパイオニア的な役割を果たすことになる。

今でも思い出すたびに、ああ、あの時糞(シット)と縁を切っておけばなあ、と無念の思いが込み上げ、僕の閃きを無視した教授に向かって英語で罵声を浴びせたくなる、シット!(糞ったれ!)と。
by n_shioya | 2013-04-26 21:00 | 医療全般 | Comments(2)
Commented by マッツ at 2013-04-27 15:40 x
ちなみに、「1%のインスピレーションと99%のパースピレーション」にはもう一つの読み方があるようです。

努力さえあれば、それは99%を占めるのだから、大抵の人間は成功に至る、というトラディショナルな読み解き。これが一般的な解釈です。

実はもうひとつ。それは、99%の部分は努力でなんとかなるが、最後の1%は天与の才能がないと届かない、という解釈。

さて、エジソンの真意はどちらだったのか、、、、、
Commented by n_shioya at 2013-05-01 18:57
マッツさん:前者がエディソンの意気で、後者が凡人の諦めでしょうか・・・


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