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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
なぜ我々はこれほど毛にこだわるのだろう。。
デスモンド モリスというイギリスの動物学者は人間は“裸の猿”だといっている。進化の頂点で人類が誕生したとき、猿は体毛を失って人間となり、同時に、どういうわけか、髪の毛だけは伸び続けるようになったという。 デスモンド モリスもいうように、直立した裸の猿が、頭髪だけを黒ぐろとなびかせて、森の中を飛び回るのは、動物界では異様な風景だったに違いない。 やがて人間が言葉を持つようになり、文明を誕生させたとき、人間自身も、この髪の毛に神性を感じたのではなかろうか。 それは各民族の伝承にも残され、やがてはそれぞれの文化の中で、宗教、権力、そしてファッションの担い手として、象徴的な役をはたすようになる。 ![]() 文明が発達しはじめて以来、少なくも男性の場合には、男性的である、また、力の象徴としてまた神聖なるものの属性として髪の毛が尊重されてきた。 伝説的の世界ではまず、バビロンのギルガメッシュ神話。 ギルガメッシュの力のもとはやはり毛であった。病気になって毛が抜けたら力がなくなり、負けてしまう。しかし、また毛が生えてきて、力を取り戻したということになっている。 また、「旧約聖書」のサムソンとデリラの話でも、サムソンの力のもとも毛であった。やはり毛を切られると、負けてしまうが、また毛が生えてきたら勝ったと記されている。 ローマの皇帝シーザーが実は禿げで、月桂冠はそれを隠すために使われたということは有名な話しである。 ![]() 一方女性の場合はかって西洋では、女の人がバサッと髪をバラバラにするということは、性的な解放といったものにつながるので好ましくない、髪はいつも束ねて、帽子を被ったりして隠すことが、たしなみとされてきた。 その意味で、たとえば絵画の世界では、ロゼッティの「黒髪の女」など、黒髪をわざとなびかせて、社会通念に挑戦しているのだ、という説明を聞いた覚えがる しかし日本の場合はまた違って、清少納言の「枕草子」に、 “ぬばたまの長き黒髪も手入れしなくては美しくない。洗い立ての烏の濡れ羽色の髪が美しい。髪ばかりでなく女性が最も美しく見えるときである云々” と書かれているように、日本では平安時代の昔から、黒髪をなびかせて、女性は描かれている。 つまり毛は、男にとっても女にとっても、まず、性のアイデンティティーを保つものであるといえる。 また、顔のフレームとして髪はある。、それがなくなるということは、自分のアイデンティティの喪失につながるということで、髪にこだわるんだということは見方もある。 これら諸々の習俗、思惑が髪に対するこだわりの源といえるのではないだろうか。
by n_shioya
| 2013-09-10 22:04
| ヘアケア
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![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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