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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
津田女子大の学生寮には男便所がない。
この当たり前のことを知らされたのは、医学部の一年生の夏休みである。 何も女装で侵入し、痴漢行為に及んだわけではない。クエーカーの団体主催のれっきとした「平和問題に関する国際学生セミナー」に参加した時の経験である。 戦後5年目。まだ日本は食糧不足で、チョコレートをばら撒く占領軍に後光がさしていた時代であった。 日本在住の、それに加えてこのために来日した世界各国の学生40~50人が、2週間、津田の寮に合宿して、世界のエキスパートの講義を聞き、小グループにわかれ、これから世界平和を如何に築くべきか、激論を戦わしたのである。 参加国は韓国、中国、タイ、フィリッピン、インド、オーストラリアそして勿論アメリカ。 日本側は東大、慶応、早稲田、一ツ橋、同志社など全国の大学から一、二名ずつ選ばれてきた。その他外務省の研修生が数名いたように思う。 2週間、討論は英語だった。 討議の合間には、水泳、野球、テニスなど運動に興じ、夜は夜で余興大会など開催し、2週間にわたって寝食を共にすると、お互い気心の知れた仲間になり、理屈抜きに平和のありがたさを感じることが出来た。 残念ながら男女は別棟に分かれて泊まらされたが。 すでに鉄のカーテンはヨーロッパに影を落としていたが、まだ「ベルリンの壁」は立ちふさがらず、我々日本の学生は祖国復興の意気に燃え、アジアの若者は植民地政策から開放された独立の喜びに溢れ、アメリカは一段上から指導的な立場を受け持ち、皆平和な未来を信じていた。 なにを議論したか具体的なことは忘れてしまったが、あの精神形成期に体得していまだに恩恵を受けていることがいくつかある。 まず、国際社会で日本の学閥などまったく無意味だということだ。出身校に関わらず出来る奴は出来るし、いい奴はいい。 また、肌の色、言葉の違い、つまり国籍の壁を越えて、大げさに言えば人類は一つ、つまり「人間家族」という意識を植え付けられたことだった。 それを国際性というならば、その頃に比べ今の若者は遥かに国際性を身につけるチャンスに恵まれているはずだ。 もっともっと在日の外国人と交流を深め、海外にも飛び出し、ブランドショップはほどほどにして、もっと現地の若者と交わって、このかけがえのない地球に共生する我ら「人間家族」を肌で感じ取って欲しい。 「人間家族?それ何」と言う方はまずあの不朽の名著、エドワード・スタイケン編の写真集「The Family of Man」をご覧ください。
by n_shioya
| 2013-10-02 20:01
| コーヒーブレーク
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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