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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
白い巨塔のしきたり
「医学部の教授はどうやって選ばれるんですか。」T氏に突然聞かれた。
T氏はアイディアマンである。年中新しいアイディアをひねくりまわしている。
そしていつもポッと質問が飛んでくる。
彼の頭の中では脈絡があっても、聞かれる方はその質問の理由というか位置づけがわからないと答えにくい。
それによって答え方も異なる場合もあるからだ。
白い巨塔のしきたり_b0084241_21225380.jpg

だが、この質問は答えやすい。矛盾だらけのシステムで、「白い巨塔」はまだ生きているからだ。すんなり決まる場合もあるが、えてしてどろどろとした権力闘争の場になるからである。そして権力闘争の手法は本質的にどの職種でも同じである。
“あくまで一般論で、また、医学部の特殊性もあるかもしれないが・・・”と前置きして、つぎのように説明した。

まず、教授の退官が決まると、後任選出のため、教授会で選考委員を選ぶ。通常6名程だ。
その委員会が多数の候補者の中から、研究、診療、教育の三点に人柄も加え、慎重に審議し、三名に絞り込み、場合によって順位を付けて教授会に提出する。後は教授会の投票で、過半数を獲得したものが、次期教授に選ばれる。
最近では、三名の候補を委員が面接したり、教授会でプレゼンをお願いする場合もある。

と、これはあくまで建前で、実際には学内に派閥がある場合は、古い大学ほど派閥のしがらみは強いが、その陰で派閥闘争が熾烈に行われることが多い。
又、これに外部からの圧力が加わることもある。
その結果、当然と思われる人が排除されたり、なんであんな奴がというのが選ばれることも多々ある。

その理由は多々あるが、

まず、前任教授は選考に加わらない習慣なので、選考委員は皆専門外の人間である。教授会も同様。極端に言えば門外漢たちが選ぶわけだ。
前任教授の意向も参考にする場合もあるが、その教授のそれまでの学内での評価が悪ければ、かえってマイナスになる場合もある。

教育、診療と云ってもその実力は評価しにくいし、まして数値化は出来ない。
診療の腕にしても、何が「名医」の判断基準かはそう簡単ではない。
ただ最近は台所事情もあって、国立大学でも診療実績、平たく言えば集客能力を重視する傾向はある。

唯一客観評価が可能なのは研究業績である。これも中身より数がものをいう。門外漢たちには中身の評価は難しいからだ。だから昔は教授選考は屑屋の仕事と同じとさえ言われた。論文の目方を計るだけだから、というわけである。
最近では論文の質を、インパクト・ファクターという数字で表すことが可能になったが、この総数だけで決めるなら、コンピューターに選ばせたほうがずっと手間がかからない。

とは言ってもTさん、大方の場合は、妥当な人事に落ち着くだけの良識は働く世界と安心していただきたい。
日本の「首相人事」のように、派閥の論理だけで、「阿呆」や「無責任男」「ファッショ」のタライまわしということでは絶対ない。

by n_shioya | 2013-11-15 21:23 | 医療全般 | Comments(0)


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