旧制高校生という蛮族

葉山に住むA君から今年の「柏尾会」の案内が来た。
かつて「旧制高校生」という蛮族が我が国を闊歩していた。
「白線帽」を冠り，「釣り鐘マント」を羽織り，「高下駄」を履いて。
その蛮族は尾崎紅葉の「金色夜叉」や川端康成の「伊豆の踊り子」にも登場する。

昼間は、何十年も掃除をしたことのない異臭紛々の寮の万年床に沈殿し，夜ともなれば酒場を求めて寮歌を喚きながら巷を彷徨う。
その寮歌の代表「ああ玉杯に花受けて」は人口に膾炙した。
だが，彼等が最も愛した寮歌は
「友の憂いに我は哭き，我が喜びに友は舞う・・・」であった。
そして，歌の文句通りに「人生意気に感じては・・・」その後の人生を共に歩んできた。
僕もその一人だった。
だがその旧制高校は，日本の道を誤った元凶どもの巣窟として、占領軍の学制改革で消滅し，我々は最後の「一高生」となった。
そしてその同期会は，「柏」の徽章を「白眉」に掛けて「柏尾会」と名付けられ，今に至る。