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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
配偶者の誕生祝に親しい友人から大きなヒースの花束が届けられ、リビングに薄紅のヒースの小花の群れが満天の星のように溢れている。
まるで茜色に染まったヨークシャの丘が目の前に広がるようである。 ![]() 「嵐が丘」ではこの「ヒース」がいわば主役でもあるが、へザー、エリカとも呼ばれ、女性の名前にも使われている。 数年前のある夕方、ヒースだけでなく、西の空も茜色に染まった頃、ヨークシャの山並みを目指し、僕はハワースに向けて車を走らせていた。 金沢医大の塚田教授夫妻にブロンテ姉妹の故郷をお見せしたかったのである。 一般公開されているブロンテ姉妹の牧師館にたどり着いたときは、もう閉館時間だった。 いったん閉鎖された鉄格子を、このために日本から来たのだからと無理を言ってあけてもらい、早足で一巡した。 訪ねた方ならご存知だろうが、あの牧師館で驚かされることがいくつかある。 まず、ベッドの狭いこと。ワーヅワースのダブ・コッテージでも感じたが、どうも半座位で寝る習慣だったのかもしれない。 また、展示されているシャーロット・ブロンテの靴の小ささにもおどこかされる。まさか、纏足をしたわけでは無かろうに。 次は裏庭の墓場である。墓碑銘をよく見ると、小児が多い。当時は下水も無く、衛生環境は劣悪で、いったん疫病が発生すると、まず子供が犠牲になったという。 そして最後に窓から見る風景だ。そこからは見渡す限り、ヨークシャ・ムアが広がりを見せている。ただそれだけである。姉妹はここに閉じこもり、ひたすらこの光景を眺めていたはずである。そのことがかえって、姉妹の想像の羽を伸ばして、ジェーン・エア、嵐が丘などの傑作の原動力になったのかもしれない。 回想から醒めて改めてリビングのヒースの盛り花を眺める。 春一番はもう過ぎたが、外は今日も風が強い。 ヒューヒューと吹く風の音に混じって、ヒースクリッフの叫びが聞こえるのは僕の空耳だろうか。 ■
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by n_shioya
| 2014-03-29 20:15
| コーヒーブレーク
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![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日) 以前の記事
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