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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
先日ある方から、幹細胞の選別の器械について聞かれたとき、いささか茶化したお答えをしてしまったので改めて説明をさせて頂きます。
“幹細胞を選別する器械が出来て、それを使って幹細胞を注射すれば全身が若返る”という話を聞いたがと言う事でしたね。 ①幹細胞とはそれが分化して臓器を造るもとの細胞で、いろいろなステージがあります。それぞれの臓器にはその元となる幹細胞が存在して、分化しながら臓器を造ります。ステージというのはその分化の程度と考えていいでしょう。最も未分化かの細胞はそれから個体にまで分化形成するもので、胎生幹細胞(ES)と言われます。iPS細胞はこれとほぼ同等と言えます。 その中間に、脂肪や骨髄に存在する色々な臓器に分化しうる幹細胞が存在します。通常細胞の選別の機器は、このステージの細胞に使われます。 従って、どのステージのどの臓器の幹細胞を選別するかによって器械も異なります。 ②現時点で臨床的に使われる幹細胞は、去年話題となった加齢黄斑変性に使われたiPS細胞(フォト)を含め、未だ限られています。 ③美容医療の分野で使われる培養繊維芽細胞は広い意味で再生医療とは言えますが、幹細胞というわけではありません。 この辺りから、再生医療そして幹細胞の定義の問題が絡んできます。 というわけで、始めにお話を聞いたとき、幹細胞、選別機器そして美容医療を都合よく繋げてストーリーを作った、器械を売る為の「セールストーク」と感じられたのです。 ちなみにこのようなシナリオ作りは、論文でも屢々観られます。これはデータねつ造よりも見破るのが難しく、悪質なものとも言えます。
by n_shioya
| 2015-04-01 23:58
| 再生医療
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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