ニュー・マップ

ノンフィクションライターは日本にも居ないわけではないが、そのスケールにおいてはアメリカのそれに遥かに及ばない。数年から十数年をかけてじっくり一つのテーマを掘り下げ、何年か一度にそのテーマの代表作を発表する。「ベスト・アンド・ブライテスト」のハルバースタムはその創始者と言えるだろう。その後に続くのがヤーギンである。石油の発見から、その現代社会、現代国家への影響を調べあげた大作「プライズ」でデビューをとげ、国家権力の所在を分析した「コマンディング・ハイツ」など次々に発表してきた。その最新作が「ニュー・マップ」である。今、世界の「地政マップ」は急速に変貌を遂げているという。その要因の一つは新たなエネルギー源であるシェイル・ガス。今一つは台頭する新興国家の中国。やはりここでもエネルギーが世界の地図を塗り替えていく様が、実にリアルに描かれていて興味をそそる。