|
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
![]() 第一製薬主催の皮膚創傷治癒フォラムである。 創傷治癒を軸に基礎と臨床、皮膚科と形成外科の橋渡しを勤めてきた、ありがたい研究会なので残念だった。 創傷治癒というのは平たく言えば傷の治りに関する学問である。 具体的には ①傷跡をいかに目立たなくするか。この中にはいわゆるケロイドなども含まれる。 ②皮膚の再生医療、というのは培養皮膚のことだ。切手大ほどの本人の皮膚を取って、体外で促成培養して3000倍ほどに伸ばし、又本人に戻す。金はかかるがこれで救われた重症熱傷患者も少なくない。 ③褥瘡の予防と治療。褥瘡とは床ずれのことである。床ずれというといかにも寝たきりになれば出来てもやむをえないととられがちだが、じつは適当なケアで予防は可能だというのが我々の主張である。 ④いわゆるモイストウンドヒーリングとそのためのモダンドレッシングの研究。傷は乾かしてかさぶたを作って治すのは間違いで、ポリウレタンとハイドロコロイドを貼り合わせたモダンドレッシングで、傷口から出る体液を温存して、湿潤環境を保ったほうが早く綺麗に治るというのが最近の考えである。 ⑤サイトカインやその他の薬剤で傷を早く治す。この中には第一製薬で開発したアクトシン軟膏も含まれる。 例年6月にホテルオークラで開催され、全国からこの分野に携わる皮膚科医、形成外科医が3,400人集い、熱心な討議を重ねてきた。 又、始めの頃は海外からの専門家を毎回お一人招待する慣わしで、世界中の専門家は殆どこのフォラム参加したことになる。 そのほかフォラムの関連行事としては、ボストンでアメリカの創傷治癒学会が開催されたときは、第一製薬がホストとなって日本人参加者と、欧米の専門家を網羅的にディナーパーティにお呼びしたのを思い出す。 場所はボストンの埠頭にあるアントニー・ピア4という老舗のシーフードレストランで、通常は予約を取らず大統領でも順番をお待ちいただくというのを、一部屋借り切った豪華なパーティで今でも語り草になっている。 それほど由緒あるフォラムだが、来年の第一製薬と三共との合併を控え、いったん中止ということになったのだ。 残念ですね、何とかなりませんか、と世話人一同担当役員に詰め寄ったが、いえ、私達の身分もどうなるかわかりませんので、と頭を掻いておられた。 ![]()
by n_shioya
| 2006-06-24 22:42
| キズのケア
|
Comments(0)
|
![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
以前の記事
検索
カテゴリ
全体 アンチエイジング スキンケア 医療崩壊 キズのケア QOL 老年病 介護 手術 全身療法 食生活 サプリメント エクササイズ エステティック ヘアケア 美について コーヒーブレーク 医療全般 原発事故 睡眠 美容外科 再生医療 再生医療 未分類 最新のコメント
フォロー中のブログ
ICELANDia アイ... 九十代万歳! (旧 八... ・・・いいんじゃない? 京都発、ヘッドハンターの日記 美容外科医のモノローグ ArtArtArt 芙蓉のひとりごと 真を求めて 皆様とともに... ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
![]() |
||
![]() |
||
|
ファン申請 |
||