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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
栗の木の精
遂に栗の木の精に捕まってしまった。

栗の木の精_b0084241_2013660.jpg岩手の山奥で家具つくりに励んでいる土屋さんのことは<以前に書いたが、今回銀座で開かれ個展を覗いたのが運のつきだった。
あのとき僕を魅了した栗の樹の大きな机と長椅子が、わざわざ銀座の展示会場まで運ばれていたのだった。

ベンチの端に腰掛けて、目の前に広がる樹齢数百年の栗の幹の、漆で磨き上げた木目を眺めていると、栗の木の精にに誘われ、いろいろな想念が沸き起り、新たな世界が展開しそうな感じになる。
これはやはり僕の書斎、又の名を“思索の小部屋”に移さなければならない。
そしてその上に無造作に開かれている書籍は、モンテーニュの随想録か、エッカーマンのゲーテとの対話か、いややはりシェークスピア悲喜劇の数編がぴったりのようだ。

そう、毎年に一冊づつ、余生にシェークスピアの作品を読破していくはずではなかったか。
この広いどっしりした机上に、ドーバーウィルソン、アーデンシェークスピア、など各種の注釈本を広げっぱなしとし、重い重いオックスフォード辞典や参考文献も傍におけば、どこからともなく名科白が響いてくるような気さえする。
それは“Frailty, thy name is woman”というハムレットの絶望の声であったり、
Signor Antonio, many a time and oft
In the Rialto you have rated me
---“という、シャイロックの恨みがましい言葉であったりする。
そしてそのシェークスピアの暗い科白を打ち消すかのように、あのパパゲーノの楽しげなメロディーが、机の片隅にすえられたやはり土屋氏の作品のオルゴールから響いてくるはずだ。

とここまで書いてきて、われながらきざと言うかペダンティックと言うかいささか恥ずかしくなった。ま、これも栗の木の精のなせるわざとご勘弁ください。
by n_shioya | 2007-06-11 21:59 | QOL | Comments(0)


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