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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
見果てぬ夢
見果てぬ夢_b0084241_1023978.jpgギルバートの発生生物学の第八版を丸善で入手した。

それまでの発生学の教科書と違う視点というか切り口で、無味乾燥な形態学的な記述ではなく、生命の生成発展をダイナミックに追及した画期的な著述である。
20年前に初版が発売されて以来、改版ごとに買い換えてきた、その度にいつも読み返したと言えないのが残念だが。
今回は大幅に書き改めているので、一年ほどかけて通読する覚悟である。

10年前、退官の挨拶の際、あまたの友人先輩後輩の前で、余生は趣味の世界つまり発生生物学の研究に浸りたい、と大見得を切ったことを思い出す。

なぜそこまでこだわる?
実は僕は生物学者になりたかった。
丁度その頃、ビシェーといったかケミカルエンブリオロジーという本が現れた。
生物の発生から形態形成化学的に解明しようという試みである、今なら常識的なことだが当時は革命的に感じられた。

そのことを九大の農学部の叔父に告げた時,“信幸、お前一生研究を続ける自信があるかい?”
と駄目押しされ、びびってしまい、“なら、悪いことは言わん。医者になっとけ、つぶしがきくから”といわれ、不本意ながら転向したのが本当のところである。
その後僕は悶々として医学修行を続けた、ギリエスとミラードの名著によって形成外科に開眼させられるまでは。

そして40年近く形成外科医を努め定年を迎えた時、手術はもう充分やった、やはり余生はなにか新たな研究をと言う浮気心がむらむらと沸き起こってきた。丁度あの放浪の画家、山下清が言う体の中に巣食っている“”が騒ぎ始めたのだろう。

もう試験管を触れる身分ではないが、ともかくもギャップをうずめようと、ワトソンの分子細胞生物学、レーニンジャーの生化学など、手当たり次第に読み始め、僕がメスのとりこになっている間の、基礎医学の進歩に唖然とさせられた。

いまさら実験室を持つことなどかなわない。だが、理論物理学が存在したように、実験室から排出される膨大なミクロのデータを、生命現象としてマクロに眺めなおす理論生物学があってもいいのではなかろうか。
大それたと言うより、素人の浅はかな思いかも知れぬが、ともかく新たに船出して、一年間、“ギルバートの世界”を漂ってみようと思う。

そのためには欲を言えば、平均余命ぐらいは保障していただけないでしょうか、神様!
好物のカツカレーも我慢しますし、キレーションでも、サプリでも、抗加齢に役に立つはずのことは何でもやりますから。
by n_shioya | 2007-09-04 23:51 | コーヒーブレーク | Comments(2)
Commented at 2007-09-05 20:04 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by n_shioya at 2007-09-06 10:26
坂井先生
おめでとうございます。
又、早速のコメントありがとうございました。


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