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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
先週取材を受けたボトックスによる死亡事故の記事が、今週発売のサンデー毎日に掲載された。
事件の概要は週刊誌をお読みいただくことにして、今回も感心したのは取材記者嬢の取材能力である。 ま、それが仕事だからといえばそれまでだが、専門家でも取り違えたり、混乱しているような内容を、事件発生から数日の間に、何人もの、それもとりどりの意見を聴取して纏め上げ、しかもそれを素人にも分かるように記述する。 週刊誌より新聞のほうがもっと厳しい面もあるという。 まず、締め切りがその日の夜。そして紙面構成の上から、何時ビッグニュースが飛び込んで半分に削られるかもしれない。 その為にはまず結論を最初のパラグラフに持って行き、続くパラグラフで順次細部を展開する、つまりどこで尻尾を切られても残った部分だけで記事になるように考えるという。 つまり通常の起承転結の文章作法は通用しないのだそうだ。 ところで僕も男の端くれとして女性に弱い。それを知ってか、マスコミでも企業でも、取材や企画には美女を差し向ける傾向がある。 “先生は相手が女性だと必ず予定時間をオーバーしますね、男性だと半分で切り上げるくせに。”と冷やかされたことがある。 今回も予定をだいぶオーバーして、次のアポの方をお待たせしてしまった。 さて肝心の記事だが、“皺取り”と言う美容目的のボトックスの安全性の問題は、まだアメリカでの調査待ちの面があるが、当面とるべきスタンスはバランスよく調理され、僕にも大変参考になった。 特に結びの一言が気に入った。 「・・・ただ“顔の皺は年輪”といとおしむことも、ひとつの治療法ではあろうが。」 現代は価値観の多様性の時代である。老化に対するさまざまな受け止め方があってもよいだろう。 そのためには、美容医療を受ける側も、与える側もここで一歩立ち止まって、奔流のごとくわれわれに襲い掛かってくる、“ユース・カルト、若さの礼拝”を見直すことも必要ではないだろうか。
by n_shioya
| 2008-02-18 22:03
| スキンケア
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Comments(6)
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icelandia at 2008-02-19 02:34
ヨーロッパでは雰囲気のある年配の女性がたいそう素敵に見えますね。そういう風になりたいものですし、年輪を重ねた女性に対しての賞賛を、(心に無くても)日本の男性から聞きたいものです。それが第一歩か、と。
ニワトリが先か卵が先かはわかりませんし、どちらでも構わないことでしょう。 日本では、自信ありげだとか仕事の出来る女性に対して、男性が(脅威を抱くのか)威嚇する傾向にありますね(無意識かもしれませんが)。日本女性が男性と肩を並べて仕事をしようとすると、非常にやりにくいのは事実です。少なくとも私の世代まではそうでした。私はアイスランドへ行くようになり、初めて男尊女卑の無い世界の拍子抜けするような気持ちよさを知り、同時に自分自身が知らない間に男尊女卑や「若さ礼拝」をしていることを気づかされました。顔の「お直し」に手が出ない我々は、価値観の多様性にひたすら期待するところです。
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n_shioya at 2008-02-19 09:16
icelandiaさん:
かつて僕がアメリカに留学していたころは、東部のエスタブリッシュメントの女性の間では、エイジ グレイスフリイ(優雅に老いるとでもいえましょうか)が暗黙の価値観だったように思います。 今はそれもどうなったことやら。 日本における女性の自我の確立とそれに反比例する男性の不甲斐無さについてはまた別の機会に。
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at 2008-02-19 21:10
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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n_shioya at 2008-02-19 22:25
山路さん:
不勉強でまだ源氏物語は読んでませんので。 何度か挑戦したのですが、いつも、「「いずれの御時(おほんとき)にか女御(にょうご)更衣(こうい)あまたさぶろひたまひけるなかに、いとやむごとなき際(きは)にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり・・・・」 のあたりで挫折を繰り返しています。 それは別にして、確かに男は卑怯で、いざとなると女性のほうが度胸がありますね。 やきもちという感情を一つとっても、女は嫉妬をむき出しにしてくるので分かりやすいが、男はそれを大義名分でごまかして、たとえば学問のためとか、患者のためとか、果ては社会のためとか論点をすり替えて、権力闘争に憂き身をやつす悪い癖がありようです。
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at 2008-02-19 22:26
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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n_shioya at 2008-02-20 09:02
岡部さん:
医者の仕事も、患者から与えられるものが多々あります。病気との対峙の態度、特に障害児の親御さんは立派な方が多く、感心させられます、それだけ苦しさを克服されてきたからでしょうが。 勿論、かつてのお仕事で、こういうことは十分経験されたでしょうが。 さて“お茶”ですが、岡部さんが入れてくだされば、それだけで皆さんおいしいと感じますよ。
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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