人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ウーマンエキサイト ガルボ Exciteホーム | Woman.excite | Garboトップ | Womanサイトマップ
ガルボウーマンエキサイト
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
南條現る
パリから大物クラスメートが來日し、かっての悪童連がアークヒルズ・クラブに参集した。

南条彰宏といって永年パリのアート読売を仕切って、ルーブル展をはじめ日本に数々の海外から名作を誘致し、美術展を開いてくれた奴である。
門外不出とされていた、フィラデルフィアのバーンズコレクションを持ち込んだのも彼の仕業だ。

どんなクラスでも、一人、二人傑物がいるものだ。
彼は昔の都立一中、今の日比谷高校に入学早々、新入生に南條ありと、その名をとどろかせた。

一年のときはすでに原子物理の権威になり、二年生のときは敗戦の年だったが、大本営が新型爆弾とよんで広島の惨事をごまかそうとしたのを、ウランを使った原子爆弾に違いないと宣言し、物理の教師を驚かせ、その後はプラトンに熱中して、難解な哲学議論で担任を悩ませていた。

そして三年生では?
ちょうど僕自身は生物学に夢中で、校舎の屋上でスウィートピーを使ったメンデルの交配実験に取り付かれていたので、彼が何をしていたかは覚えてない。
生物の授業がつまらないからと、教師を説得して授業時間を分けてもらい、仲間と二人で、蛙の解剖のデモンストレーションをやらせてもらったこともある。

そのころの一中は受験地獄とは程遠い、まことに自由な学校であった。
早熟を競う、ペダンティックな気風ともいえるが、何か自分の専門を持っていなければ相手にされなかった。

旧制中学は5年制であったが、5年目をはしょって、4年から旧制高校に飛び越すこともできた。
そこからの大学進学は形式的な試験はあったが、ほぼ保障されていた。
僕は1高の理科に進学し医師の道を選んだが、南條は文科を選び、大学は仏文に入った。

彼は語学の天才でもあった、英、独、仏、そしてアラビア語等々。
大学卒業後は得意のアラビヤ語を生かし、アラビヤ石油の山下太郎とか、田中清玄だかの黒幕を勤め、公私とも波乱に満ちた人生行路を歩んできた。
今の夫人も何人目かである。子供も五指を超えるという。
今もそのすべてとうまく付き合っているのが彼の偉いところで、クラスメートのヒーローであり、すでに伝説的な人物になっている。

年に一度來日すると、今日のように昔の仲間が馳せ参ずる、いまだに不思議な魅力に溢れた男である。
by n_shioya | 2008-04-02 22:59 | コーヒーブレーク | Comments(5)
Commented by icelandia at 2008-04-02 23:32
昔の仲間とはいえ凄いメンバーですね。集まるとさぞ壮観かつ楽しく面白いことでしょう。アートということでアイスランドに飛びますが、Jóhannes Sveinsson Kjarvalという画家はご存知でしょうか。日本人の感性にも合う作風かと思います。現在はアイスランドでもそれほど多くの点数が展示されていませんが、私はたまたま記念展の時期に何回か行っているため、かなりの点数を見ることができました。機会があれば是非どうぞ。知られざる巨匠といったところです。
Commented by n_shioya at 2008-04-04 08:34
icelandiaさん:
不勉強で知りませんでした。
日本ではどこか展示されているとこはありますか?
Commented by icelandia at 2008-04-05 04:08
ご存じないのは当然だと思います。アイスランドでは絵画の父として、彼の名前が冠になっている美術館があるほどですが、国際的にはほとんど知られていないことでしょう。「ぜひどうぞ」なんて書いてしまったので、さも日本のどこかに展示されているように解釈できますね。ごめんなさい。ぜひアイスランドへ行ってご覧くださいという意味です。日本(北斎や墨絵等々)に興味があったようで、時代によってはその影響を色濃く読み取ることができ、またそのような資料もあり、興味深く見ることのできる作品群かと思います。「Kjarval(キャルヴァルと発音します)」で検索するといろいろと出てくるので、よろしければとりあえずそういったものをご覧ください。言葉足らずで失礼しました。
Commented by 山路純平 at 2008-04-06 18:35 x
塩谷先生へ

お話しの通りです。

傑物というのは、なにがしか、
昔から、伝説を残しているものです。


Commented at 2011-05-14 10:22 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


<< ピンピンコロリ 原宿サロン >>


woman.excite TOPへ Copyright © Excite Japan Co., Ltd. All Rights Reserved.
免責事項 - 会社概要 - ヘルプ | BB.excite | Woman.excite | エキサイト ホーム