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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
“How should I your true love know
From another one?・・・ He is dead and gone, lady, He is dead and gone; At his head a grass-green turf, At his heels a stone.” ハムレットの第四幕第五場で、正気を失ったオフィーリアは、歌の最後で“ストーン!”と叫びながら、泣き崩れる。 そしてそのあと、小川に溺れてしまう。 ローレンス・オリヴィエの映画ハムレットでは、オフィーリアを演じたのはジーンシモンズだった。 だが、この歌が心に響くたびに、僕の脳裏に浮かぶのはミレイのオフィーリアである。 無学にも僕は、ミレイの絵はこれしか知らなかった。しかもあの小川に浮かぶオフィーリアは、ハムレットを読む前から馴染んでいた。子供心にもそれほど印象的だったのだろう。 今日、東急文化村でミレイ展を覗き、オフィーリアを含め彼の素晴らしい数々の作品に圧倒されて帰ってきた。 9歳の時のデッサンの素晴らしさ。 そのまま芸大から特待生としてお呼びがかかっても不思議ではないくらいの出来栄えである。 僕はプレ・ラファエル派は、ロゼッティぐらいしかなじみがなく、しかもあの角ばった顎がどちらかというと苦手であった。 だがもっとイギリス絵画も見直さねばならないと感じた。 あらためて考えると、イギリスは島国のせいか、コンスターブルにしてもターナーにしても、国内で絵画は完結し、いわゆるルーブル、オルセー、プラド中心の西洋名画から置き去りにされている感がある。 近代絵画はあらゆる表現法を試み、行き詰まって末、また糞リアリズムに一部回帰したがある。 リアリズムというとまず思い浮かぶのが、日本画ではあるが速水御舟だが、“あれは写実性以上のものと思いますが何と呼べばいいのでしょう?”と、芸大の美術解剖の故中尾教授にお伺いすると、“迫真性というべきでしょう”と即座にお答をを頂いたことがある。 ミレイの肖像画、風景画、すべてリアリズムに徹してはいるが、迫真性と同時に唯美的でもある。 同じ階のカフェ・ドゥ・マゴでエスプレソをすすりながら、これまでに接した名画、名曲にあれこれ思いを巡らしながら、“芸術作品を鑑賞する”というのは間違いで、“体験する“もっと具体的には“感ず”べきものである、と言えるようになった後期高齢者のゆとりに感謝を捧げたくなった。
by n_shioya
| 2008-10-23 21:17
| 美について
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Comments(10)
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at 2008-10-23 23:07
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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きのこ組
at 2008-10-23 23:54
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私なぞは速水御舟は”炎舞”ぐらいしか知らないのですが、
リアリスてィックな”炎”は日本画でしか(日本人しか)描けないとか。。 もちろん受け売りですが。
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ruhiginoue at 2008-10-24 06:49
その絵は、宮崎駿が、もともと知っていたけれど実物を見たら吃驚したと言ってましたね。写真などで見るとのは違うようです。おっしゃるとおり、鑑賞ではなく体験ですね。
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n_shioya at 2008-10-24 22:47
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n_shioya at 2008-10-24 22:55
きのこ組 さん;
「炎舞」は確かに一番の傑作ですね。 リアリスティックな炎というと、文学作品ですが、芥川の「地獄変」を思い出してしまいます。 僕が迫真性を感じたのは、「京の舞妓」とモノクロのケヤキの素描を見たときでした。 ことに「京の舞妓」では、畳の目の描き方の細やかさに驚かされました。
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n_shioya at 2008-10-24 22:58
イギリス在住の娘は今、若きプリラファエル派達をモデルとした面白おかしいドラマにはまっています!ちなみにイギリス人作曲家で教授のケビンジョーンズ氏がこのオフィーリアの絵をもとに描いた感動的なピアノ組曲を日本でこの8月に発表します。詳細は上のホームページをごらんください。
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n_shioya at 2009-08-10 19:07
n_shioya様
今年もケビン・ジョーンズ氏によるレクチャー&リサイタルが8月4日(土)15:00~/19:00~と2回公演を行います。 是非 いらしてくださいませ!以下、今回の内容の一部です。 「ハイアリングの羊飼い」はケビン・ジョーンズが作曲した、四曲から成るピアノ組曲で、ラファエロ前期の画家、ミレーとホルマン・ハントの作品に基づいている。同時期の絵画(2009、2010、2011年に蒲田で演奏されたオフィーリア、ユグノー教徒、世界の光)同様、作曲家の居住地に近いロンドン近郊のホッグスミル川を舞台にしている。「ハイアリングの羊飼い」は初めて展示された時、賛否両論を呼んだ。一見牧歌的なイギリスの田舎の光景にはある批判がこめられていた。それは当時の教会指導者たちが牧師の義務を怠って、神学論争にふけっていたことへの批判で、さまよう羊たちの様子にその混乱が示されている。ケビン・ジョーンズは、絵に隠された魅力的なシンボルを音楽の中で説明する。
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バーバリー ブラックレーベル
at 2013-03-13 16:02
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カッコいい!興味をそそりますね(^m^)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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