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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
2010年 02月 22日 ( 1 )
胎児外科
昨日、傷跡は消せないといったが、そのことを補足しておく。
キズをした時のことを思い出して欲しい。
少々のキズなら絆創膏を貼って数日して剥がせば傷口は閉じている。深いキズならば、怪我でも手術の時でもそうだが、外科医が縫ってくれる。五日から一週間ほどで糸を抜けば、もう傷跡はふさがっている。
暫くして傷口が赤く盛り上がることもあるが、やがてそれも平らに薄くなる。
だが、その白い筋は傷跡として残り、消えることはない。

傷口、創面というが、を接着して直してくれるのは、瘢痕組織と呼ばれ、大半は傷口で繊維芽細胞が織り出すコラーゲン線維である。
又皮膚の支持組織は真皮といって、やはり8割はコラーゲン線維である。ただ瘢痕組織はおなじコラーゲンでも、構築が違うので、周りの皮膚と比べ、傷跡として目立つのである。

では瘢痕組織を無くせばと思うかもしれないが、どんなに年月がたっても、この瘢痕組織が無くなると傷跡は開いてしまう。今は見ることがないが、壊血病といってビタミンCが不足するとコラーゲンの生成が抑えられ、一旦はふさがった傷口がぱっくり口をあけるという現象が認められた。

ならば真皮が「再生」してくれれば、傷跡は残らないじゃないか。
仰せの通り。
だが、悲しいかな、高等動物は進化の過程でその「再生能力」を失い、瘢痕組織という「補修の組織」に頼らざるを得なくなったのである。再生に対しこれを「修復」といって区別している。

ところで御承知のように、ヤモリなどは傷口だけでなく、手足を失っても立派に再生する。
昔生物学で、“個体発生は系統発生を繰り返す”ということを習ったのを思い出して欲しい。つまり人間の胎児も、受精卵から一人前の個体になる過程で、ヤモリの時期を通過するということだ。ならばその時期の胎児に傷をつけても、修復ではなく再生で治り、傷跡を残さないだろうというのが胎児外科の発想の起点である。

ちなみにこれは胎生期3か月ほどといわれている。この時期になれば今の超音波の診断技術で、口唇裂などの奇形も診断は可能である。
その時に手術をすれば、ということになるが、これは母子ともにあまりにもリスクが高い。
そこで今貴志君が取り組んでいる、胎児の再生による創傷治癒機転を解明し、成人に持ち込むことはできないか、という発想が生まれる。

これは広い意味で再生医療の一環ともいえる。
これから最も期待される分野だということはお分かりいただけたろうか。
by n_shioya | 2010-02-22 22:13 | キズのケア | Comments(8)




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