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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
2011年 01月 29日 ( 1 )
美のリセプター
先週東急文化村のジヴェルニー展で買ってきた「印象派はこうして世界を征服した」を夢中で読んでいる。
著者はフィリップ・フックという画商で、クリスティーズやサザビーのディレクターを歴任している。
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ただの美術評論ではなく、印象派の絵が最初は嘲笑の的にされながら、いかにコレクターにもてはやされるようになったか、そしてその間にたって画商がどんな役目を果たしたか、又今でも絵画市場はどんなメカニズムで動いているか、現場のプロとして様々なエピソードを交えながら、印象派の勃興と現在も続く人気を興味深く綴っている。

昔父の友人の画商に言われたことがある。
“坊ちゃん、ね、絵というものは自分で買い集めてみなければわからんものですよ。”
例え何万でも、また何百万でも出しても手に入れたいと思い、実際に無理をしてでも自分のものとすることで初めて、観る目も養われるということらしい。
それに、本当は絵にしても、展覧会場でせかせかと見て回るのと、自分の部屋に飾って日夜ゆっくり眺めるのとでは、味わい方が全く違うだろうことも分かる。だがそのようにして名画を鑑賞できるのはごく一部の人に限られるだろう。
この本にはそのごく一部の人と、印象派時代に生まれた仲介役としての画商との、虚々実々のやりとりも描かれている。

所で絵画の価値はどう決まるのだろう。
すべて、ものの市場価値は単純には需要と供給、つまり買い手と売り手のバランスできまる。だが絵の場合、画商、コレクターそしてただの鑑賞者、それぞれにとって価値の基準は微妙に異なるのではなかろうか。

画商にとっては売れること、たとえそれが長期投資であっても。
そのためにはコレクターの好みを先取りせねばならぬ。画商の鑑識眼はその辺にあるようだ。
では、コレクターを含めた鑑賞者の判断基準は?
端的に言えば、その絵に魅力を感じるかどうかであろう。
魅力を感じさせるもの、それがである、という美の定義も可能だ。

其の美意識はどこからくる?
僕はここで自分の土俵に引っ張り込みたい。
それは細胞生物学である。
細胞が活性化するためには、リガンドという刺激物質が必要である。成長因子、ホルモンなどがその代表的なものだ。だが、そのリガンドが効果を発揮するには、細胞に受け皿が必要である。これが細胞膜に存在するリセプター(受容体)と呼ばれるものだ。
リセプターがなければいくらホルモンがあっても、細胞は反応しない。反対にリセプターが豊富なら、少量のリガンドでも細胞は活性化する。
又、リセプターは細胞にもともとあるものもあるが、リガンドに接することで細胞膜により多く発現するものでもある。

僕の言いたいことはこうだ。
“美”は、そのもの自体は定義できないとされている。
“心地よく感ずるもの”、という属性で定義するしかないと、美学者は言う。つまり、“魅力”を感じさせるものということになる。
つまり美は細胞生物学でのリガンドにあたり、リセプターが美意識といえる。
そして美意識もリセプター同様、美に接することで豊かになっていくのではなかろうか。

というわけで、これから僅かずつでも、美のリセプターを育てたい願っている。
by n_shioya | 2011-01-29 23:09 | 美について | Comments(6)




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